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メルマガ第10号 【規制緩和 BCGモデル】

タイは2021年10月に入り、国内の感染者数が10,000人強まで減少。2回のワクチン接種率はバンコクが約54%、全国では32%にとどまっていますが、各地で接種を加速させ観光再開へと動き出しています。(2021年10月4日付)完全な観光再開は11月以降になりますが、少しづつ入国制限の緩和などが行われ、渡航者にとって重要な前進となっています。
産業の面でも、世界で関心の高まる環境や社会と共存するエコな産業を目指し、政府が政策を打ち出しています。
 
【タイの入国制限緩和】
2021年10月1日より、新しい入国隔離制限の規則をもうけ、ビジネスや観光でタイへ入国する人のための条件が緩和されました。
緩和条件は以下の通りです。
 
・ワクチンを2回接種完了していて、その接種証明書を所持している場合
 (ワクチン接種は最低でも出発の14日前に完了していること)
 隔離期間は14日から7日間に短縮されます。
 
・ワクチン接種が完了していない人、証明書を所持していない場合
 隔離期間は14日から10日に短縮されます。
 
 隔離期間は短縮となりますが、今までと同様に入国のためにはCOE(入国許可証)の取得が必須となっています。
これらの申請のためには、パスポート、ビザ・ワークパーミット(必要の場合)、渡航前 72 時間以内に発行された新型コロナ陰性証明書、新型コロナ治療費を含めた10万ドル以上補償する医療保険、ASQ予約確認書が必要になります。
http://site.thaiembassy.jp/jp/news/announcement/9763/
 
・日本国籍パスポートを所持する人の観光目的の入国の場合には45日間ビザなしで入国が認められています。
・タイで有効なPCR検査はRT-PCR検査という種類のものです。実施しているクリニックは在京タイ大使館のHPで確認できます。
 
タイ政府が観光業回復促進のために実施している、「プーケットサンドボックス」「サムイプラス」も同様に隔離期間が短縮されると発表されています。島内で7日間の滞在を経たのち、自由にタイ国内を移動することができます。*ツアーの予約にはワクチン接種完了の条件などがあります。
https://www.tatnews.org/2021/10/phuket-sandbox/
 
【BCG(Bio-Circular-Green)経済モデルにより経済の回復を目指すタイ】
BCG経済モデルは、「バイオ経済」、「循環経済」、「グリーン経済」の考えを統合したものです。「バイオ経済」は、生物資源の活用を通じた経済活動、「循環経済」は、資源の再利用とリサイクルを通じた経済活動、「グリーン経済」は、経済、社会、環境のバランスを保ち、持続可能な開発につながる経済活動を意味しています。
 
◆BCG経済モデルにおける最新の政府公表
ジュラポン・タウィーシー工業省副事務次官は2021年9月29日オンラインで「ECOイノベーションフォーラム2021」の開会式を主宰し、タイ工業団地公社(IEAT)とタイ工業連盟(FTI)との共同で、タイ産業を推進する方向性の方針のBCGモデルを発表しました。
 
(工業省ジュラポン・タウィーシー工業省副事務次官のコメント)
工業省はIEATと共同で産業経済推進委員会を設置し、産業界と緊密に協力しながら運用のメカニズムを策定する

民間セクターを含めた委員会でBCGエコノミーモデル(特に循環経済とグリーン経済)といった新しい経済開発を推進するための仕組を作っている

生産工程管理の効率化、資源・原材料のコスト効率の向上や、工業用水およびエネルギー管理の効率を向上させるなど、工場、工業団地、エコ工業都市それぞれがエコ産業開発ガイドラインに従うことにより、産業部門が環境や社会に与える影響が低減する

工業省としては、具体的な方法でエコ産業を発展させ、強化するための主要な機関となり、持続可能な開発に基づいてビジネス上の利益だけでなく、環境にやさしい産業の発展や、地域住民や社会との共存に注力する
 
(IEAT総裁ウィリス・アムラバーン氏のコメント)
タイ産業の発展は、国の経済発展のために重要です。ただ経済面を発展させるだけでなく、持続可能な国の産業分野を発展させるとともに、運用の枠組みを提供し、国の発展の方向性を決定する
 
このような開発には多くのリソースが必要ですが、将来的には不足する可能性があります。そのため、産業だけでなく社会と環境にとって持続可能な開発目標(SDGs)が必要となる
 
20年の国家戦略枠組(2018-2047)に従って、BCGモデル政策を推進するエコ産業開発もすすめる。BCGモデルは、環境と経済の両方で持続可能な開発を推進する経済発展の重要なエンジン。工業団地公社は、その重要なメカニズムとして、エコ産業都市の開発を通じてBCGモデルを推進する
FTIとIEATは、環境にやさしい経済成長を実現するために産業界を発展させる同じ方向性の方針を掲げています。企業が持続可能な開発をおこない、社会的責任 をもつエコ工場となる基準を証明するために、両者は協力する意向を表明しました。
 
◆エコ産業都市のグレード
エコ産業都市のアップグレードを具体的に開発するために、これは最も重要な基準の1つになります。エコ工場は、物理的、経済的、社会的、環境的、管理的な5つの側面で22の項目からなるエコ産業基準の要件を満たしている必要があります。
 
FTIとIEATは工場局と提携しエコ工場基準の推進・認証を拡大していきます。これは、国のエコタウンをアップグレードするための標準でもあります。政府のBCGモデル政策を促進していけるよう、あらゆる規模の業界に適合できる認証レベルを3つのレベルに調整しました。※
 
レベル1. エコファクトリービギナーは、中小工場に適した基準
レベル2. エコファクトリー現在工業省が認定するグリーン産業レベル4に相当する
レベル3. エコファクトリープラス 政府が推奨するBCGモデルをバリューチェーンネットワークへ広める
 
スリヤー工業大臣は2025年までに国内にある約71,130か所の工場をグリーン産業に発展させる目標を制定しました。タイ工業連盟はすべての会員企業が、2025年までにエコファクトリーまたはグリーン産業と認定する目標をたてています。
 
※(工業省が定めるGreen Factory の基準)
Level 1 (Green Commitment) 環境に配慮した組織の方針や目標を定め組織全体が認知すること
Level 2 (Green Activity) 環境絵の影響を低減するために定めた目標と計画方針に沿った具体的な活動の実施
Level 3 (Green System) 環境への影響を継続的に低減するためのモニタリング、また環境対策に関する表彰を受けるか、環境保全に関連する基準の認定を受ける。
Level 4 (Green Culture) 組織の誰もが環境保全を意識し、環境にやさしいビジネスを行うためにあらゆる面で協力し活動をおこなっており、それらが企業文化の一部となっている
Level 5 (Green Network) 組織の中だけでなく、パートナーや外部へグリーン産業を推奨し範囲を拡大させる
タイ工業省工場局ウェブサイトより抜粋
 
また、BCGモデル促進支援は地方産業においても進められています。
 
◆地方におけるBCGモデルの導入支援

  • 工業省の地方産業支援(経済的価値10%以上増を目指す方針)

工業省は、全国の地方産業を支援し、BCGモデルを地域経済の発展に導くという方針のもと、南部の14県で、25社の企業でプロジェクトの導入が行われました。環境保護、大量の廃棄物の削減を行うことにより経済的価値を10%以上高める効果があると考えられています。
 
ウォラワン・チットアルン工業副事務次官は「BCGはタイ産業を前進させる」というテーマのセミナーを開催し、政府が掲げているBCGモデル(Bio・Circular・Green)がタイ経済を強固で持続的に成長させるための基盤として重要だと発言しました。
 
(ウォラワン・チットアルン工業省副事務次官のコメント)
工業省は、地方産業での生産の効率化を図るために、全国の各県の可能性に合わせてBCGモデルガイドラインを採用している。廃棄物の削減や再利用で収益を増やすことによりその結果、社会や環境にとっても持続的に成長可能な産業として発展していけると考えられている。
 
南部の14の県は、豊富な天然資源、強力な加工設備、そして国内外の様々な地域とのつながりを持っていることから、ターゲット産業や物流の製造拠点としての適切な空間的利点をもっているため、BCGの経済の効果を最大限に引き出すと考えられる
 

  • タイ南部での具体的な取り組み例

工業省ナコーンシータマラート県支部長のワッチャリン・チャイヤヌポン氏は、2021年度のBCG概念枠組は、生産コストの削減、製品の付加価値の創造、そして持続的な成長を通して中小企業の競争力を高めることができる工業省のプロジェクトの一つであるしています。
 
南部の14県パッタルン、ナコーンシータマラート、スラータニー、チュムポン、ラノーン、パンガー、クラビー、プーケット、トラン、サトゥン、ソンクラー、パタニー、ヤラー、ナラティワートの中小企業は、本プロジェクトにおいて、モンクット王工科大学と共同でバイオ経済、循環、グリーン経済の促進と発展に関する詳細な協議活動を展開しました。
 
このプログラムに応募した33社の内25社の企業が選ばれました。
内訳として8社のバイオ産業分野、7社の循環産業分野、10社のグリーン産業分野に分かれています。
 
(ワッチャリン・チャイヤヌポン支部長のコメント)
綿密なアドバイスを行ったその結果、研究開発事業者との連携により、様々な分野で効果が得られることがわかった。生産ラインやシステムの改善など幅広いBCGモデルの開発ガイドラインを準備して適用させる
 
バイオ産業分野に参加している8社はあたらしい生物素材を用いた新製品の開発に注力。循環産業分野の7社は3R(Reuse/Reduce/Recycle)を含む生産プロセスの適用に焦点を当てている
 
グリーン産業分野は資源の効率的な使用と資源消費の削減に焦点を当てた。モニタリングシステムを活用したエネルギー消費と電力削減に参加した企業は10社
今回の取り組みによって、経済的価値を少なくとも10%増加させることができると考えられています。社会開発・環境保護と共に経済発展するというタイ政府の開発目標に沿った産業の強化を図っています。
 
2021年10月配信

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