セター首相をはじめとする新政府は、タイの経済の変革と海外貿易を標準にした大規模プロジェクトを推進し始めている。前政権より議題にあがっていたこの巨大プロジェクトはランドブリッジ・プロジェクトとよばれ、タイ南方に位置するチュムポーンとラノーンを結ぶ輸送及び物流インフラの開発だ。タイ湾とアンダマン湾をつなぐこれらの交通網が開通することにより、いままでマラッカ海峡を通過していた太平洋とインド洋の海上物流の時間とコストを削減し、莫大な経済的価値を生み出すと考えられている。
現在政府は詳細を検討し、関連法の制定に向けて準備を進めている。2024年半ばに議決を目指し、2025年よりPPP投資の入札が開始予定となっている。
総投資額は1兆バーツで、深海港の建設はそれぞれチュムポーン港3,000億バーツ、ラノーン港3,300憶バーツその他物資輸送のための地域開発や都市間高速道路・主要鉄道といった輸送システムの建設などが検討されている。
現在政府は詳細を検討し、関連法の制定に向けて準備を進めている。2024年半ばに議決を目指し、2025年よりPPP投資の入札が開始予定となっている。
総投資額は1兆バーツで、深海港の建設はそれぞれチュムポーン港3,000億バーツ、ラノーン港3,300憶バーツその他物資輸送のための地域開発や都市間高速道路・主要鉄道といった輸送システムの建設などが検討されている。
同時に既存する南部経済回廊(SEC)加発の促進や南部地域のバイオ産業・高付加価値農産物の高度化、観光の質と水準を国際レベルに引き上げる機会にもつながると期待されている。
画像:Facebook/Thailand Infrastructureより
画像:Facebook/Thailand Infrastructureより
【2023年10月APECでのセタ首相の発言】
タイの経済的外交の促進と、この大規模プロジェクトについて将来的にタイが貿易と輸送のハブとなり、他では見られない外国投資家の機会を創出する。
ランドブリッジ・プロジェクトは世界の新しい航路となり、全体の移動時間を4日間短縮し、コストを平均15%削減することが可能となり、タイが製造拠点としても、世界市場への輸送のための重要な戦略的ハブとしての価値を高める。
ランドブリッジ・プロジェクトは世界の新しい航路となり、全体の移動時間を4日間短縮し、コストを平均15%削減することが可能となり、タイが製造拠点としても、世界市場への輸送のための重要な戦略的ハブとしての価値を高める。
【2023年12月18日 日本で行われた投資家へのセミナー】
セタ首相は来日の機会に日本の主要企業30社に向けて、ランドブリッジプロジェクトに関する投資誘致セミナー「Thailand Landbridge Roadshow」を開催した。
来日に同伴した外務省パンプリー・パヒタヌコーン大臣と本プロジェクトを管轄する運輸省スリヤ・ジュングルンルアン大臣も同席した。
来日に同伴した外務省パンプリー・パヒタヌコーン大臣と本プロジェクトを管轄する運輸省スリヤ・ジュングルンルアン大臣も同席した。
セタ首相の発言
本プロジェクトが実現した際には、ヨーロッパとアジアをつなぐ海上物流に大きな価値を生み出す。現在マラッカ海峡を通るコンテナは世界のコンテナ輸送量の25%を占め、マラッカ海峡を通る石油輸送は世界の石油輸送の60%以上を占めている。マラッカ海峡は、世界で最も忙しく、最も混雑した輸送量の1つで、その結果、港湾におけるコンテナ荷揚げ量は年間約7,040万個、通過する船舶数は年間約9万隻となっている。今後もその輸送量は増加し、2030年にはそのキャパシティを超え、今以上の混雑と混乱が予想されている。
タイはこの機会にヨーロッパとアジアを結ぶ海上物流の改革に乗り出した。ランドブリッジが将来増加する物流網に対応するための重要な航路の選択肢の一つになると確信している。また、このプロジェクトにともなう地域開発や地域資源を生かした産業創出、タイが推進するNew S-Curve対象産業にも投資機会が生まれる。
スリヤ大臣の発言
本プロジェクトを推進する理由として以下の2点を挙げた
- タイは東南アジアの中心に位置し経済的にも好立地の条件を備えており、また隣国との交通網が整備されているため、貿易に適している。
- コンテナ船が年々増加していることに加え、海峡の定員制約により、船が海峡を通過して目的地まで航行を続けるまでに長時間の行列ができるマラッカ海峡の混雑解消に役立つ。ランドブリッジ・プロジェクトは、距離・時間を短縮し、輸送コストを削減することが出来る。
また、本プロジェクトは2025年から2040年まで4つのフェーズにわけられ、国際的な入札が行われる。単一契約の50年権利保証で、潜在的な能力のある投資家を迎えたいと考えている。また外国投資家に関連する投資インセンティブを促進するなど、新しい法律の制定も検討中。
【2023年12月20日 タイの産業セミナー】
運輸省チャイヤタム・ポンホムスリー事務次官がGO THAILAND 2024 GREEN ECONOMY LANDBRIDGEに登壇し、本プロジェクトに関する説明を行った。
本プロジェクトは長期にわたり温められ続けてきた巨大プロジェクト。現在、世界の貨物輸送量は37兆7,000憶ドルに達し、その内の約40%がアジア貨物、ヨーロッパが38%を占めている。
海上輸送では世界中の運河が利用されており、特にエネルギー関連の石油は生産国であえる中東地域からマラッカ海峡を経由して一日約1,600万バレルもの量が中国南部や日本、韓国、台湾などの国に運ばれている。
現在問題となっている船の交通渋滞を解決するため、本プロジェクトは世界の産業にとって大変魅力的な輸送航路の開発であり、同時にタイが立地的な強みを生かす貿易の中継点となる輸送ハブとなることが期待されている。
ランドブリッジ・プロジェクトの重要な側面は、民間投資家が50年間のコンセッション契約を受けられるようにすることで、外国人投資家の投資機会を促進する。現在、投資家と船会社の両方から良いフィードバックを受けており、2024年第一四半期に入札に向けた情報公開を予定している。
本プロジェクトは長期にわたり温められ続けてきた巨大プロジェクト。現在、世界の貨物輸送量は37兆7,000憶ドルに達し、その内の約40%がアジア貨物、ヨーロッパが38%を占めている。
海上輸送では世界中の運河が利用されており、特にエネルギー関連の石油は生産国であえる中東地域からマラッカ海峡を経由して一日約1,600万バレルもの量が中国南部や日本、韓国、台湾などの国に運ばれている。
現在問題となっている船の交通渋滞を解決するため、本プロジェクトは世界の産業にとって大変魅力的な輸送航路の開発であり、同時にタイが立地的な強みを生かす貿易の中継点となる輸送ハブとなることが期待されている。
ランドブリッジ・プロジェクトの重要な側面は、民間投資家が50年間のコンセッション契約を受けられるようにすることで、外国人投資家の投資機会を促進する。現在、投資家と船会社の両方から良いフィードバックを受けており、2024年第一四半期に入札に向けた情報公開を予定している。
【解決すべき問題点】
本プロジェクトを推進していくうえで、当然、地元住民から反対意見が挙げられている
- 不適切な土地への介入を訴えたり、環境への影響は甚大。
- 一般市民が参加する機会がなく、地域の潜在的な能力に沿った開発に対応していないと考えられている。
- 政府が予測している海上輸送の増加についても、中国は一帯一路のルート建設を推進しており海上輸送物流量が減少すると推定している。
上記の問題定義に関して政府は現地の人々の生活や環境への配慮を徹底し、理解のもと進めていく必要がある。