タイ新政府が、選挙で停滞していた経済政策、選挙中に掲げていた公約の実行などに動き出し、経済の指針が少しずつ見えてきました。首相は、経済セミナーでも投資インフラの整備や外国投資家への利便性を高めた政策を掲げ、経済成長をさらに加速させたいと考えているようです。不動産業界で財を築いたセター首相の経験が生かされると期待されています。
【乗車運賃20バーツ政策】
新政府は、かねてより公約に掲げていたタイ公共機関の乗車運賃全線20バーツ統一運賃の適用を2023年10月16日より開始した。これらは、国民の生活費負担の補助や旅行者の利便性などの目的で、まず1年間、レッドラインとパープルラインの2路線で試験的に適用される。
SRTレッドラインでは、バンスー駅―ランシット駅区間と、バンスー駅―タリンチャン駅区間全線で、MRTパープルラインでは、タオプーン駅からクローンバンパイ駅の全16駅区間で、もともと14バーツから42バーツで設定されていた料金が対象区間は20バーツ均一料金となった。
SRTレッドラインでは、バンスー駅―ランシット駅区間と、バンスー駅―タリンチャン駅区間全線で、MRTパープルラインでは、タオプーン駅からクローンバンパイ駅の全16駅区間で、もともと14バーツから42バーツで設定されていた料金が対象区間は20バーツ均一料金となった。
その効果と課題
試験開始から1週間のデータでは、料金均一前と比べて、利用者の数はレッドラインで約34.59%、パープルラインは4.9%増加した(10月12日乗客数と27日乗客数の比較)。
利用者は増加傾向にあり、政府は、大学やショッピングセンターなど利用者の多い地域の利便性を高めると期待している。
ただ、収入に関していえば、レッドラインは一日あたり65万バーツの売り上げがあったのに対し、試験開始後は50万バーツまで減っている。パープルラインは1日130万円の売り上げが80万円に減少。両路線は、定期的なメンテナンスにかかる費用なども考慮して、政府に運賃の差額の補助、今後の収入確保の方針など、試験結果を見ながら進めていかなければいけない。
利用者は増加傾向にあり、政府は、大学やショッピングセンターなど利用者の多い地域の利便性を高めると期待している。
ただ、収入に関していえば、レッドラインは一日あたり65万バーツの売り上げがあったのに対し、試験開始後は50万バーツまで減っている。パープルラインは1日130万円の売り上げが80万円に減少。両路線は、定期的なメンテナンスにかかる費用なども考慮して、政府に運賃の差額の補助、今後の収入確保の方針など、試験結果を見ながら進めていかなければいけない。
【デジタルウォレットの進捗状況】
2023年11月11日、政府は、公約に掲げた“デジタルウォレットを通じた給付金の支給案”を、早急に実行するために、関係機関と話し合いを行ったことを発表した
現在のGDPは僅か1.9%の成長に留まっているが、本政策は国民の消費活動を促進させ、経済を活性化する引き金として機能すると確信を持たれている。
但し、予算の確保、富裕層の定義、受給資格の認定方法、不公平さが生まれないことなど、国民に混乱が生じないように入念な準備が必要ということも言及された。
但し、予算の確保、富裕層の定義、受給資格の認定方法、不公平さが生まれないことなど、国民に混乱が生じないように入念な準備が必要ということも言及された。
首相は受給資格について以下の通り発表された。
- 16歳以上のタイ国民
- 月収が7万バーツ未満
- 預金額が50万バーツ以下
上記の条件を踏まえると、およそ5千万人が対象となる
給付は2024年5月から開始され、使用用途には様々な条件が課せられている。
例えば、自身のIDが登録されている地元で使用すること、6か月以内に使用すること、他人への譲渡は無効、受給するためには事前登録が必要となる。
例えば、自身のIDが登録されている地元で使用すること、6か月以内に使用すること、他人への譲渡は無効、受給するためには事前登録が必要となる。
デジタルウォレットで購入できる対象商品は食料品のみとなっている。オンラインショッピング、光熱費の支払い、アルコールは対象外で、現金への換金も不可となっている。
また、政府はデジタルウォレット受給資格のないタイ人を対象に’E-Refund Project’を2024年1月から開始する。個人所得税の控除を受けられるようにするため、5万バーツ以下の商品やサービスを購入する場合、個人納税申告書を提出すると政府から税金が返金されるシステムになっている。
政府はデジタルウォレットの受給資格がない人はこのプログラムを通じて経済の活性化に参加することが可能で、より多くの店がデジタル化に展開していけるよう期待している。
【EEC新政策】
政府は停滞している経済の活性化を目指し、外国企業の投資促進とEEC発展に向けた中期計画と短期計画を発表した。
EEC計画の中枢にある2023年―2027年の5か年計画
様々な機関と連携して、経済、社会、環境といったあらゆる側面に焦点をあてている。
社会・環境に配慮した5つの指針
社会・環境に配慮した5つの指針
- 未来のためのサービスと産業投資
- 付加価値を高める・インフラ公共事業の活用
- 技術発展やイノベーションに備えるための労働力スキル強化
- 近代的で住みやすく、職業に適した都市づくり
- 投資による利益をこみゅにてぃの持続可能性に結び付ける
法律や許可申請を含めた投資環境の整備
- 2023年12月までに、EECに投資をする企業に対し、免税や減税、土地・建物の所有権、タイ政府が推進する業種の専門家や管理職、その家族に長期滞在VISAの発給などの特典を設ける。
- 2024年1月にはEECファンドレイジングを立ち上げ、外貨を使用するタイ企業と外国企業両方を対象に資金調達を支援する。米ドルを皮切りに、より多くの資金調達オプションを提供し、タイ企業にとっても海外進出の機会が増え、市場に様々な金融投資機会が生まれる。
- 3つの空港を結ぶ高速鉄道のプロジェクトは、SRTと民間合弁企業(Asia Era One Co., Ltd.)との間でプロジェクト実施のための交渉とガイドラインが明確に締結される。ウタパオ空港と航空都市開発プロジェクトについても、2024年1月までに民間請負業者が正式に建設を開始する準備が整う。
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行政サービスと法律の整備をより円滑にする。
例えば、土地の掘削と埋め立て、ビル制御、産業機械の登録、公衆衛生、登記など、法律の面で許可申請の手続きを向上させる。
EECは、官民セクター、特に人材育成に関する事業を一体化して、主要産業への投資拡大に備え、人材を教育し、投資家が安心してタイ国内に生産拠点を設けられるよう整備する。 -
2023年10月に事業拡大や医療・健康、デジタル産業・航空産業・ロジスティック産業に関する人材育成を支援するために、EECビジネスセンターとスマートシティが経済特区に整備された。
チャチュンサオ県の経済特区“エーペックス・グリーンインダストリ―・エステート”は、12の特別対象産業への投資を奨励し、モダンオートモービル産業、スマートエレクトロニクス産業、農業産業など、外国との競争力を高めるためにユーティリティ、施設、必要なサービスを提供する。
ラヨン県のプルワックデーン地区にはEEC Advanced Healthcare(EEChc)を設立。官民共同投資で病院を設立し、この地域に住む人々のために医療・公衆衛生サービスを提供し、健康を守る。
デジタル産業・イノベーション推進エリアであるEECdでは、2023年12月に世界有数の通信事業者であるインドのCtrlS Daracenter社が4万㎢の土地を50年契約で締結する。そこにデータセンターを設立し、事業と同時にクラウドサービスの人材育成を行う予定。タイ電力公社は全国的なプロトタイプのEV充電ステーション事業に投資するために、年内に20年契約で8千㎢の土地賃貸契約を締結する。ほかにもドイツ企業からデジタル廃棄物のリサイクルに関する事業の投資など、関心を寄せられている。
以上
データソース:bangkokbiz、MGOnline, MCOT