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メルマガ第30号 【セター内閣の主な政策】

2023年9月初めにセター第一次内閣が発足しました。重要ポストにはタイ貢献党員を中心に、連立野党や元軍事政権で経験のある人物を配置し、経済の再建に早急に取り組んでいく姿勢です。
また、現在タイ国内ではセシウムの流出や工業廃棄物の処理、工場からの排水処理などによる環境汚染が非常に問題視されています。工場への指導や管理監督を徹底していく必要があり、こうした観点からも、新任の工業大臣による産業発展と、国民の健康維持を両立していく取り組みに注目が集まっています。

セター内閣の主な政策

  1. デジタルウォレットで10,000バーツをチャージ

    お金を経済に投入し、マクロ経済を循環させる全ての地域に分配。
    投資や事業の拡大を引き起こし、雇用創出を通じて経済活動を循環させる。
    政府は税金の形でリターンを受け取る仕組みを作る。
  2. 農業部門の債務問題の解決  SMEの救済

    適切な条件と資格を精査して農家の債務を一時停止する。
    COVID-19の影響を受けた中小企業を対象とし、債務と財務コストを支援する
  3. 電気代の削減と燃料問題

    電気代と燃料費を直ちに適切な料金にする。
    再生可能なクリーンエネルギー生産と使用を促進する。
    近隣諸国との両誘致交渉を加速し追加エネルギー源を模索する。
  4. 観光の収益を促進 ビザ申請改善とフライトの増便

    観光は短期的にタイ経済を刺激することが出来る収入源のひとつ。
    ビザ手続きの簡略化や料金の免除など、また展示会出展社向けのファストトラックビザの確立など、全てのセクターの企業と協力して展示会開催を行う。
    空港の改善や国内フライトの見直しなども含め、より多くの人が便利に利用できる陸海空の輸送システムを構築する。
  5. 王室に関わる憲法改正の意見の相違問題を解決
    民主的な憲法にするため、国民投票を実施し、それらを議会で話し合う。
その他公共交通機関の料金の見直しや安全保障、南部地域の平和政策などが議題に挙がっている。

最低賃金の値上げ

タイ貢献党の公約の中の一つに、最低賃金を2027年までに600バーツまで引き上げるというものがある。これらを実現するためには企業の利益率を高め、年間5%の経済成長率が必要とされる。政府は上記政策の実現の皮切りとして、2024年1月1日から最低賃金を400バーツまで値上げすることを検討しているとのことだ。
本件を担当している労働大臣は、最低賃金の値上げが、企業の圧迫、経済の破綻を招かないようにするために、労働者・雇用主・政府の3つの組織で形成される有識者会議で十分に話し合われる必要があると述べた。
現在の最低賃金は地域ごとに異なり、その金額は328-354バーツと開きがあるため一律400バーツとなった場合、一番賃金の低い地域は20%以上も賃上げを行わなければならないことになる。特に中小企業にとっては事業を継続できなくなる恐れがあるため、賃上げはインフレを反映して地域ごと、業種ごと、または能力によって引き上げる必要がある。
タイ工業連盟に属する45分野の産業のうち、自動車や電子電気産業といったハイテク産業はすでに一日あたり600バーツの賃金が支払われる高度なスキルを持つ労働者が雇用されている。およそ半分は農業・漁業・食品加工など農業集約型産業においては、政府は自動化の推奨や低金利ローンといった面から支援することが求められている。
観光業界も、賃上げについては消極的な意見も見られる。観光産業の回復がまだコロナ前のように戻っていないこと、高いエネルギー価格や労働者不足など、課題が多く残っている。
また、これらの対象はタイ国民だけでなくタイで働く全ての外国人労働者も同じ様に賃金の保証がされなければならないとしている。外国人労働者の賃上げについては、投資家にとっては負担が増える一方で、労働者にはタイで働く理由の一つにもなる。現在5万人以上の外国人労働者がおり、今後2-30年後には労働人口全体の50%を外国人労働者が占めるだろうと予測されている。そのため、雇用需要を満たすのに十分な条件として賃上げと同時にスキル向上が求められている。
上記のことを踏まえ、政府は1月1日から一律400バーツとするのか、段階的にまた業種ごと、地域ごとに価格を制定するのか遅くとも11月末までに決めたいと考えているとのことだ。
各地域の最低賃金の現状(2023年9月)
現在の
最低賃金
(バーツ/日)
対象地域
328 ナラティワート パタニ ヤラ ウドンタニ ナン
332 カンペーンペット チャイヤプーム チュムポーン チェンライ チャンターク ナコーンシータマラートピチット プレー マハサラカム メーホンソン ラノーン ラーチャブリー ランパーン ランプーン シーサケート サトゥーンシンブリー スコータイ ノンブア ランプー アムナット チャルーン ウタイターニ
335 カンチャナブリー チャイナット ナコーンパノム ナコーンサワン ブン カンブリーラム プラチュワップ キーリー カーン パヤオ パッタルン ピサヌローク ペッチャブリー ペッチャブーン ヤソートーン ロン・エド・ルーイ サ・ケオ スリン アントン ウッタラディット
338 カラシン チャンタブリー ナコーン ナーヨック ムックダハーン サコンナコーン サムットソンクラーム
340 クラビ コーンケーン チェンマイ トラート ナコーンラーチャシーマー プラチン ブリー パンガー ロッブリー ソンクラー サラブリ スパンブリー スラートターニー ノンカーイ ウボンラーチャターニー
343 アユタヤ
345 チャチューンサオ
353 バンコク ノンタブリー ナコーンパトム パトゥムターニー サムットプラカーン サムットサーコー
354 チョンブリ、ラヨーン、プーケット

新任の工業大臣 早急に取り組むべき事業

工業省初の女性大臣に就任したピムパトラー・ウィチャイクン女史は南部ナコンシータマラート県出身の理系畑出身の政治家である。
就任後工業省幹部との会議で経済復興のために早急に取り組むべき事案として、新産業の促進、SME強化、基盤経済の活性化、ワンストップサービスの向上、ゼロカーボン産業推進を挙げ、これらについて3か月以内に行動に移さなければならないと述べた。
主に将来の自動車産業、スマートエレクトロニクス産業などを歯車として、ロボット工学、自動化、バイオおよびハラルといった潜在的な新しい産業を支援する方法を緊急に見つけるよう促した。
さらに経済回廊については国内4地域に拡大する。国内で電気自動車の生産と普及を促進するための措置の検討を進める。同時に充電ステーションの拡張や税制改正なども行い、中小企業が市場にアクセスしやすく競争力を高める効果をもたらすよう支援する。
人材育成にも重点を置き、産業技術教育や職業訓練などを支援して、人々が持続可能な収入を得られるようにすることによって、タイが中所得国の罠から将来の繁栄へと移行する準備をする。
また、廃棄物処理の問題では、地域住民に影響のない処理方法を徹底し、将来的にはゼロカーボン産業モデルを推進するために話し合っていく。
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